都市銀行について解説します。
都市銀行とは。都市銀行の意味
都市銀行とは、大都市に本店があり、広域に展開している銀行です。
ただし、現在においては都市銀行の基準について明確な定義がありません。
そのため、大都市に本社があり、全国展開している銀行であっても、都市銀行には分類されていない銀行があります。
一方、全国展開はしていないものの都市銀行に分類されている銀行もあります。
都市銀行の例
都市銀行は、以下の5行あるいは4行です。
みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行
このうち、埼玉りそな銀行を都市銀行として扱う場合と、除外する場合があります。
都市銀行の特徴
都市銀行の特徴としては、大都市に拠点を置く普通銀行という特徴が共通しています。
現在、都市銀行に分類されている銀行は、東京・大阪・埼玉に本店があります。
また、現在の都市銀行は、さまざまな銀行が合併や再編して誕生した背景をもっています。
そのため、いずれも規模が大きい銀行となっています。「メガバンク」と「都市銀行」が似た意図で使われることもあります。
その他、全国地方銀行協会(地銀協)・第二地方銀行協会(第二地銀協)のどちらにも属していない点も特徴です。
都市銀行の略称
都市銀行は略して「都銀」と呼ばれることがあります。
都市銀行の歴史
都市銀行は、1968年に大蔵大臣の諮問機関の審議で、「普通銀行のうち、6大都市またはそれに準ずる都市を本拠として、全国的にまたは数地方にまたがる広域的営業基盤を持つ銀行」と定義されました。
※諮問機関とは、行政庁が意思決定する時に意見を求める機関です。専門性の高い内容について、調査や審議を行い、答申します。主に学識経験者など、その道の専門家が行います。
当時は、以下の13の銀行が都市銀行に分類されていました。
第一銀行、三井銀行、富士銀行、三菱銀行、協和銀行、日本勧業銀行、三和銀行、住友銀行、大和銀行、東海銀行、北海道拓殖銀行、神戸銀行、東京銀行
これらに太陽銀行、埼玉銀行が加わって、一時は15行となりました。
その後、都市銀行同士の合併や再編が進んだ結果、2013年からは現在の体制になりました。
大都市に本店があって広域展開しているが、都市銀行ではない銀行
新生銀行やあおぞら銀行は、東京に本社があって全国に展開していますが、都市銀行には分類されていません。
これらは、元々が「長期信用銀行」で、途中から「普通銀行」に転換した銀行です。
ゆうちょ銀行も東京に本社があり、全国に展開していますが、都市銀行には分類されていません。
国営の郵便貯金が前身であり、特殊な銀行であるという事情からと考えられます。
全国展開はしていない都市銀行
埼玉りそな銀行は、「都市銀行」と見なされる場合と、そうでない場合があります。
前身と言える旧埼玉銀行が都市銀行であったこと、BANCS加盟であったことなどから、都市銀行扱いになる場合があります。
銀行コードは0017で、都市銀行の番号帯0001-0032に含まれます。
金融庁の銀行分類では「地域銀行/その他」にあたります。
全国展開という条件にとらわれずに「大都市に本店があり、規模が大きい」という条件と「都市銀行という分類が誕生した頃の都市銀行にルーツをもつ」という条件を満たす銀行が、慣習的に「都市銀行」に分類されている、と考えるとわかりやすいかもしれません。
利用者目線での都市銀行
都市銀行の大きな魅力は、さまざまな地域に広く展開していることです。
口座を持っていると、居住地以外の都道府県に出掛けた時にも、支店やATMがあって使えることが多いです。
全国転勤がある方にとっては、口座を開き直さずに使い続けられるので、地方銀行よりも使い勝手がよいでしょう。
国内外に出張の多い方にとっても、便利です。海外でも取引が可能な場合もあります。
また、本店周辺の都市には支店やATMも多く、都市部在住者にとっては、使い勝手がよい銀行です。
一方、地方在住者にとってはあまり使い勝手がよくない場合があります。
都市銀行の地方における支店やATMは、県庁所在地など、人口の多いエリアに限られがちです。
それ以外の地域では、地域密着型の金融機関の方が使いやすいことが多いです。
都市銀行の口座保有者数は非常に多いです。
そのため、オンライン送金機会が多い方は口座を持っていると手数料を節約できる場合があります。
近年はIT業界との連携にも積極的です。
キャッシュレス取引が増加すると居住地に関わらず「都市銀行」の規模によるメリットが大きくなっていくかもしれません。
この他、地方銀行との違いとして、都市銀行は大企業を主な顧客としています。
中小企業や個人事業主への融資、個人の住宅ローンなどにおいては、金利が低いものの審査が厳しいという傾向があります(あくまで傾向であって、個々のケースにもよります)。
都市銀行の覚え方
少々強引ですが、「み」で始まる3つのとにかく大きい銀行(みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行)と、りそながつく大きい銀行(りそな銀行、埼玉りそな銀行)が、都市銀行と覚えてしまってもいいかもしれません。