第二地方銀行について解説します。
第二地方銀行とは。第二地方銀行の意味
「第二地方銀行」とは、「一般社団法人第二地方銀行協会」の会員である銀行です。
金融庁の「免許・登録業者一覧」に「地域銀行 / 第2地方銀行」として掲載されています。
協会では、以下のように定義しています。
“協会定款第5条
協会定款第5条「平成元年(=1989年)2月1日以降、金融機関の合併及び転換に関する法律(昭和43年法律第86号)第6条第5項の規定に基づいて銀行法により免許を受けたとみなされた銀行及び会員から営業を譲り受けることを目的として新たに免許を受けた銀行であって、主たる営業基盤が地方的なもののうち、次条の承認を得たものとする。”
一般社団法人 第二地方銀行協会定款
第二地方銀行の特徴
「第二地方銀行」は、本店のある都道府県を中心に地域的に営業展開を行っている普通銀行です。
「地方銀行」に比べると、前身が「相互銀行」で、「普通銀行」としての歩みは新しく、規模が小さい銀行がほとんどです。
第二地方銀行の略称
「第二地方銀行」は、略して「第二地銀」と呼ばれることがあります。
第二地方銀行の例
「第二地方銀行」は、39行あります。
預金額が多い銀行など、いくつか例を挙げます。
北洋銀行、京葉銀行、みなと銀行、名古屋銀行、もみじ銀行、愛知銀行、栃木銀行
「第二地方銀行」にあたる銀行を知りたい時は
第二地方銀行の歴史
多くの「第二地方銀行」は、「無尽」から「相互銀行」へ、「相互銀行」から「第二地方銀行」へと転換して、誕生した銀行です。
「無尽」は、民間の小規模な金融形態です。個人や法人が組織に加盟して、金品を払い込み、利息も元に競りや抽選を行って加盟者が金品の給付を受けます。現在でも地域によっては、盛んな場所があります。(沖縄県、山梨県や各地の農村・漁村地域など。呼び方は地域により異なります。)
戦後、1951年(昭和26年)の相互銀行法制定によって「無尽会社」が「相互銀行」になりました。1968年(昭和43年)の法律改正の際に、大部分が普通銀行に転換して「第二地方銀行」となりました。1992年(平成4年) には「相互銀行」が完全に廃止されました。
「第二地方銀行」である39行のうち、東京スター銀行以外の38行は「相互銀行」から転換した銀行です。東京スター銀行は、相互銀行から業務を譲り受ける際に新たに免許を受けた銀行です。八千代銀行という「信用金庫」から「第二地方銀行」に転換したケースもありましたが、合併によって、「第二地方銀行」ではなくなりました。
バブル後に相次いで「第二地方銀行」が破綻し、数が減りました。
第二地方銀行の近年の動き
「第二地方銀行」では、「地方銀行」と同じく、経営統合・再編の動きが進んでいます。各地に複数の銀行で構成された、フィナンシャルグループが誕生しています。
インターネット支店という形で、web上にて全国展開を行う銀行も増えています。地元のPRと合わせた、個性豊かなネーミングの金融商品を全国で利用できます。
新潟県の大光銀行えちご大花火支店では「スターマイン三尺玉定期預金」、岡山県のトマト銀行ももたろう支店では「きびだんご定期預金」、香川銀行のセルフうどん支店では「超金利トッピング定期預金」を取り扱っています。
地域の現場では、自治体と連携したまちづくり支援や、取引企業を通じた地域活性化などに積極的に取り組んでいます。
第二地方銀行を含むフィナンシャルグループ
2016年に東日本銀行(第二地方銀行)が、横浜銀行(地方銀行)と経営統合して地銀グループとしては最大規模のコンコルディア・フィナンシャルグループとなりました。
また、福岡銀行(地方銀行)、熊本銀行(第二地方銀行)、十八銀行(地方銀行、2020年合併予定)による、ふくおかフィナンシャルグループのように大規模なグループ企業化が進んでいます。「メガバンク」に対して「メガ地銀」と呼ばれることもあります。
第二地方銀行同士でのフィナンシャルグループもあります。
じもとホールディングスは、きらやか銀行と仙台銀行、トモニホールディングスは、徳島銀行と香川銀行、大正銀行によるグループです。
利用者目線での第二地方銀行
「第二地方銀行」を利用する魅力は、地域に寄り添ったサービス展開です。
「地方銀行」と同じく、営業展開地域を離れると支店がほとんどなくなる点は、弱点です。インターネット取引がメインで、提携ATMをたまに使う、という使い方では、実店舗の有無が気にならないかもしれません。
中小企業や個人事業主への融資、個人の住宅ローンなどにおいては、都市銀行や地方銀行よりも「金利が高め」なものの「審査基準が緩め」という傾向があります。大きな銀行では断られてしまう案件でも、慎重に審査して融資してもらえるケースもあるでしょう。
(※あくまで傾向であって、個々のケースによります。)
地域とともに歩んできた第二地方銀行は、進化中
今後、銀行間の業務提携や経営統合が進んでいくと、「地方銀行」と「第二地方銀行」という違いは、利用する上ではあまり意味がなくなっていきそうです。ご自身の使い方や目的に合わせて、お住まいの地域で使い勝手のよい金融機関を選びましょう。
地域の相互扶助から発展した「第二地方銀行」。顔の見える身近な距離感を活かしつつ、現代に合うような進化を遂げ、地域を盛り上げる存在であり続けることに期待しましょう。