農業協同組合(JAバンク)について解説します。
農業協同組合・JAバンクの意味
農業協同組合(JA)とは、農業協同組合法に基づく法人で、農業者によって組織された協同組合です。
JAバンクとは、「農業協同組合(JA)」、「信用農業協同組合連合会(信連)」、「農林中央金庫(農林中金)」から構成された金融機関グループの総称です。「農林中央金庫」が中央機関となります。
農業協同組合・JAバンクの特徴
農業協同組合は、農家の相互扶助を目的として作られた協同組合組織です。
JAバンクの信用事業以外にも、組合員のニーズに応じて幅広い事業を行っています。
営農指導などの指導事業、直売所・ガソリンスタンド・Aコープ運営などの経済事業、病院運営などの厚生事業、共済事業、福祉事業、冠婚葬祭事業、観光事業などがあります。
JAバンクは、JAの正組合員である農業者とその家族を主な顧客層としています。
原則として出資を行い、准組合員になることで、農業から離れた人や、非農業者など誰でも、貯金や個人向けローンなどの取引が利用できます。
また、組合員に対する一定の割合で組合員以外の者でも取引することができます。
JAバンクの例
JAバンクは、全国各都道府県に存在しています。例を挙げていきます。
【JAバンクの例】
JAバンク北海道、JAバンク青森、JAバンク岩手、JAバンク宮城、JAバンクあきた…
原則、独立採算制ですが、「JAバンクシステム」として、一体化したサービス提供を行っています。
ユーザーにとっては、1つの金融機関の支店に近い感覚で利用することができます。
農業協同組合の略称・JAバンクの由来
農業協同組合は、略して「農協」と呼ばれることがあります。
また、農業協同組合の英語名称は、「Japan Agricultural Cooperatives」です。総合農協グループの組織について、これを略して「JA」という呼び名が用いられています。
この農業協同組合の信用事業を行う金融機関グループを、JAバンクとしています。
農業協同組合・JAバンクの歴史
江戸時代に大原幽学によって作られた「先祖株組合」という組織が「農業協同組合」の始まりと言われています。また、同時期に二宮尊徳(金次郎)の指導によって農民に貸出を行う報徳社という組織が作られ、組合的な要素をもっていました。
1900年(明治33年)に産業組合法が制定され、各地で「共同組合」ができました。農村部では生産・販売・購買・信用事業を行う協同組合が発展していきました。
1943年(昭和18年)に、「農業団体法」によって産業組合や農会が「農業会」として統合されました。
戦後、1948年(昭和23年)には「農業会」は解散されます。1947年(昭和22年)に「農業協同組合法」が制定されて、新たに全国各地に「農業協同組合」が設立されていきました。
JAバンクの近年の動き
支店のない過疎地域へのサービスとして、移動店舗車を用意しています。ATMを搭載しているほか、相談業務に対応する場合もあります。非常時の金融サービス手段としても役立っています。
全国のJAバンクで、ATMが終日手数料無料で利用できるほか、コンビニのATMが利用できるようになり、平日の日中は、手数料が無料のところも多くなっています。
デジタル化を進め、ネットバンクの申し込みについては、来店不要で完了するようになっています。
利用者目線でのJAバンク
「農業協同組合」は、農業者のための組織ですが、「JAバンク」は、非農業者でも利用することができます。
現在では、農業者である正組合員数よりも、その他の職業である准組合員数が上回っています。
JAバンクは、都心部よりも農業が盛んな地域でATMや支店が多くなっています。
営業展開が手厚い地域に住んでいる場合は、便利な金融機関となります。
農業者にとって使いやすいのはもちろんですが、自営業者やサービス業、外回り営業、主婦など、平日日中にコンビニなどで出し入れをする機会の多い方にとっても、預貯金口座として使いやすい選択肢になります。
住宅ローン、教育ローンなど個人の借り入れについては、地域により金利が異なり、傾向の分析が困難です。
正組合員については、優遇条件となっていることが多いです。
審査基準に独特な面があり、都市銀行に落ちた人が通って、都市銀行に通った人が落ちるようなケースもあるようです。地域により、農産物のプレゼントなど、銀行にはない特典が用意されている場合もあります。
事業系の融資については、農業関連の資金が主な融資対象となります。地域によっては、農業以外の事業についても、融資プランがあるところもあります。金利等は非公開なことが多くなっているので、個別に相談する必要があります。
農業支援につながる金融機関、JAバンク
地区ごとの独立経営ではありますが、事実上、全国展開の金融機関に近い使い勝手のJAバンク。
農業を行う人以外にも、利用メリットを感じられる方が多い金融機関です。
JAバンクは、取引を行うことで農業支援につながります。
ネットバンク機能も整えられているので、都市部に住んでいても「お米大好き!」「国産野菜がいい!」と、食や農業に高い関心を寄せている方も、選択肢に検討したい金融機関です。